NUNO CANAVARRO - PLUX QUBA
ディスク
紹介
時間が経つと色が消えてしまう絵の具で描かれた水彩画。
軽やかなタッチの音。
自由に動き回る音のつぶが生まれては消えていく。
レコード盤に刻まれた音たちは、どのようにそれを採集したのか全く見当がつかない。
ミスター・カナヴァーロのみぞ知るひみつ。
網を持ったミスター・カナヴァーロ、蝶が入った虫籠が肩から下がっている。
サイド1は9曲。サイド2は6曲。曲数は明記されているが、曲名は空白ばかり。
やりかけで飽きてしまったようだ。
サイド2の2曲目から5曲目は、まとめて"ULTRAMARINA"と書かれている。
青い海の音楽。
音楽の流れ方が、時計が刻む時間から遊離している。
時空を超えて漂う音波。
不安になり、レコードが回転する動きが一定であることを確認する。
だが、黒いビニール盤に刻まれた溝の深さを計り知ることはできない。
ミクロとマクロを行ったり来たり。
ジャケットに書かれた「 N.C。」の文字。
NUNO CANAVARROの略 だと早合点して良いのだろうか?
NO CENTIGRADE
無摂氏。
とえあえず、「水が凍らない世界」ということにしておこう。
新しい・古いという言葉がこの世界には存在しないらしい。
太古から現在そして未来へとつづく記憶。
音が喚起するさまざまな記憶は、自分の物なのかどうかも分からない。
timeless = 時間が存在しない = não hora
text by 青柳亮
NUNO CANAVARRO
PLUX QUBA
NC: ELECTRONICS, MELODICA, PRE-RECORDED TAPES
RELEASED IN 1988 on AMA ROMANTA in PORTUGAL